2013京都紅葉の旅B

2013.12.1-2

 厭離庵の紅葉は最後の輝きを放っているところでした。僕が特別な思いを抱いているのを知っていて、僕のことを待っていてくれたかのようです。普通なら観光客が気付くことのないこの小さな空間は、旅行前に妻が一生懸命に調べて見つけてくれたものでした。初めて来たときの感動は今でも忘れることができません。血で染められたような真っ赤な紅葉が脳裏に焼き付いています。僕は、厭離庵を一人で訪れる度に、涙が出そうな気持ちになります。それでも、きっと毎年ここにやってくるに違いありません。

 僕の足はいつの間にか常寂光寺を後にして、嵯峨野を歩き続けました。落柿舎の近くの芸術的な紅葉・黄葉の合体した木を過ぎ、今回は二尊院を通過して、そのまままっすぐに厭離庵を目指しました。前回の旅ではほとんど紅葉は見られなかった厭離庵。妻が見つけてくれたその思い出の隠れ名刹が、「今度はしっかり色をつけてあるから早くおいで」と僕を手招きしている感じでした。僕はもみじの天井の下をただひたすら歩きながら、ついに厭離庵の古めかしい小さな門をくぐります。

 写真はすでに常寂光寺の入り口を過ぎたところにあります。もうすでに紅葉のピークは終えているはずだった常寂光寺なのに、こんなにも美しい光景を残してくれていたなんて感激です。僕は、嵯峨野のこのお寺が大好きです。静寂な雰囲気が何とも言えないのです。そして上からは、京都市街が一望できる。
 紅葉の色合いは丘の麓と頂上とで微妙に違います。麓の方が赤が鮮やかかも知れません。実は、2週間前の1回目の訪問のときには、上の紅葉・黄葉が実に鮮やかでした。何枚写真に収めても収めきれない美しさに、ため息をついたものです。そして、今回は境内いっぱいに繊細な黄葉の風景が広がっていました。
 何て幸せな気分なんでしょう。一人旅の悲しさは、この喜びを隣にいる人間と分かち合うことができないことです。「きれいだね」「そうだね」そんな単純な会話でいいのです。きっと幸福感は何倍にもふくれあがることでしょう。さあ、今回は起伏の激しい境内を、時間をかけてゆっくり散策してみたいと思います。どうぞおつきあい下さい。

 ここから天龍寺の裏口を出て、竹林を通り、嵯峨野方面に向かいます。嵯峨野の紅葉は実に微妙です。途中の常寂光寺だけは紅葉が早めにやって来ます。ですから、今回はピークを過ぎているはずでした。その他の二尊院・清涼寺・宝筐院(ほうきょういん)・厭離庵などはちょうど12月の頭が紅葉のピークのはずです。自分の予想が的中しているかどうか、僕は胸をドキドキさせながら嵯峨野散策に出発しました。

 ついに、天龍寺の境内に入りました。編集して旅行記用に選び出した写真の枚数があまりにも多いので、データの重さを考えて2回目の京都訪問は2つのファイルに分けました。例年だと、12月の頭の天龍寺は、もう紅葉も色褪せ始めているはずなのですが、今年はよく頑張っています。天龍寺の駐車場の紅葉と境内の紅葉とでは、その進行度合いに大きな違いがあります。駐車場の方が遅くまで鮮やかに紅葉しています。それでは、天龍寺の境内を進んでいきましょう。